自分の残業を自分の力だけでなくす方法
働き方改革などで長時間労働、いわゆる残業の削減が熱を帯びていますね。
ですが実際のところ、わたしたちのところまでその効果が降りてくるにはまだ相当に時間がかかりそうです。
国や企業の取り組みは偉い人たちにお任せして、自分の力だけで自分の時間外労働をなくそうとした場合、どのような方法があるのでしょうか。
時間外労働とは
時間外労働とは、法定労働時間や就業規則・雇用契約書上で定められた労働時間を超えて働くことをいいます。
いわゆる「残業」だと考えればよいでしょう。
残業には2種類あります。
サービス残業と有料残業です。
残業しても賃金の支払いがない場合が「サービス残業」
残業すると法定割増賃金が発生する場合を「有料残業」
※有料残業という言葉は実際にはありませんが、サービス残業と対比するためこう呼称します。
いうまでもありませんが、違法なのはサービス残業のほうです。
有料残業であれば喜んで残業する方もいるでしょう。
今回はこれに区別を付けず、「とにかく時間外労働をしたくない」という方はどうすればよいかを考えてみます。
時間外労働になってしまう3つの原因
時間外労働になってしまう原因は大きく3つです。
①自分の仕事が終わらない
②自分の仕事が終わっても帰りにくい
③自分の仕事が終わったのか終わってないのかよくわからない
①は単純に、自分の仕事が終わらないから帰れない状態。
②は具体的には「定時になっても、周りの上司や同僚がまだ帰る気配がないので、とりあえず自分も残る」ような状況です。
これはイメージが付きやすいのではないでしょうか。心当たりがあるかたも多いはず。
③の「自分の仕事が終わったのか終わってないのかよくわからない」は、以下のような状況です。
事務職のあなたは、普段、会計関係を中心に業務を行っています。
労務担当は別の方がしていますが、その仕事もあなたがしたり、他の事務職の方がしたりすることがあります。
それぞれがお互いにお互いの業務をすることがあり、守備範囲は入り乱れて不明確かつ、だれがその業務の責任者かもはっきりしません。
なんとなく全員が全体の仕事をして、責任の所在は「全体」にある状態です。
ある日、定時になり帰ろうとすると、労務担当の職員がまだ仕事をしていました。
その仕事は私にもやれる仕事です。
私が手伝えば早く終わるでしょう。
いや、むしろ先輩の私がするべき仕事だったのではないでしょうか。先々月はたしか私がした業務です。
更に見回すと他の事務員もまだ残って何かをしています。
何をしているのかははっきりしませんが、何をしているの?と声くらいかけるべきではないでしょうか。
声をかけたらきっと手伝うことになり、残業になるでしょう。
・・・あれ、私、じゃあ何が終わったら定時で帰れるの?
これが、「自分の仕事が終わったのか終わってないのかよくわからない」状態です。
自分の仕事がどれで、自分の仕事ではないものがどれなのか、はっきりしていないがゆえにすべてが自分の仕事になってしまっています。
こうなると、部署の全員が帰らない限り帰れません。
慢性的に残業の多い部署にはありがちなパターンです。
このような状況は自分ひとりの力で短期間に変えることは難しいでしょう。
ですがあえて、①②③、それぞれの原因別に「個人の力」でやれることを考えてみましょう。
★の5段階で評価してみます。
①自分の仕事が終わらない
ビジネス書を買って読み、業務削減をする
効果:★★
取り組みやすさ:★★★
低コスト:★★★
いきなり他力本願ですが。
世の中にはさまざまな才能をもった経験豊富な先人たちの書籍が出ていて、読むと未経験でも素晴らしい知恵や技術を学ぶ出来ます。
自分で経験して学んで実践するより、圧倒的な速さで、しかも洗練されたの高い技術を知ることが出来ます。
経験して学んでこそ価値がある、という意見にも一理ありますが、それには長い時間とチャンスが必要です。
手っ取り早く定時にあがるためには、これらを活用したほうが遥かに効率的で失敗も少ないでしょう。
うまく活用できるかどうかにかかっていますが、書籍はコンビニで簡単に手に入り、お値段もたかが知れていますので、うまくいかなくても損失はさほどありません。そのときは次の書籍に手を伸ばせばよいだけです。
なお、業務削減にはこちらもお勧めです。
時間を生み出すフレームワーク「ECRS」|誰でも簡単に業務改善が出来る魔法の考え方
毎朝、1日のタイムスケジュールを立てる時間を割く
効果:★★★★
取り組みやすさ:★★★★
低コスト:★★★★★
ポイントは、スケジュールをたてることではなく、スケジュールを立てる時間を用意することです。
何も考えずに「タイムスケジュールを立てよう」と思っても、実はなかなか実践できません。
スケジュールを立てる時間がもったいない、または周りの視線が気になる、などが原因です。
ですので、出社してから30分はスケジューリングの時間として確保します。
周りの目を気にしてはいけません。
整理整頓とスケジューリングは立派な仕事です。
実際、これを堂々とやっている人を見て、仕事をさぼっているなんて思う人はいません。
1日のタイムスケジュールが立てられたら、今日は定時に上がれる可能性が非常に高いです。
少なくとも定時にあがれるスケジュールが出来ていれば、あとはそれをこなすだけだからです。
スケジュールを立てることで優先順位も整理されているはずなので、慌てながら余計な仕事に時間を割く、という無駄はなくなります。
時間を区切っていることで心に余裕も生まれるでしょう。「この仕事は○時までに済ませば大丈夫」という余裕です。
定時より1時間早く終わるスケジュールを作るのも、成功のコツです。
②自分の仕事が終わっても帰りにくい
日中はわき目も振らずに仕事をする(という姿を見せる)
効果:★
取り組みやすさ:★★★★★
低コスト:★★★★★
日中に周りと雑談しすぎていると、定時に帰るのに抵抗が生まれます。
逆に日中にわき目もふらず集中して仕事に取り組んでいれば、気持ち的に定時に帰りやすいでしょう。
定時に帰っても恨まれない人は、日中に周りが認めるほど集中して仕事をしている人です。
働く姿勢としては基本的なことかもしれませんが、慢性的な残業がある部署ほど日中は無駄な雑談が多いものです。
「私は1日集中して仕事に邁進したから、定時に帰るんだ」という強い気持ちを持ちましょう。
1日のタイムスケジュール・タスク・進捗を周りに知らせる
効果:★★★★
取り組みやすさ:★
低コスト:★★★★★
自分のタイムスケジュールは周りに知らしめ、その進捗も目に見えるようにしましょう。
こうすることで、この人はどの仕事をする予定で、それがどの程度終わっているのかがわかります。
仕事が終わっていること、または終わる算段が付いていることを周りが知っていれば、この人が定時に帰ることはごく自然なこととして受け入れられるでしょう。
具体的な方法としては、1日のタイムスケジュールをデスクの目につきやすいところに貼り出して周りからも見えるようにし、終わった項目やタスクを消していく、などです。
周りから見ると、着実に予定通りに業務が遂行されていくことが分かります。
ただし、周りの目に見えるということは、それなりにきっちり業務を遂行していかないと逆効果となってしまいます。だらしなさも周りにわかってしまうからです。
また、数日で止めてしまうなども相当なイメージダウンですので、やるときは肝を据えて取り組む必要があります。
少し勇気のいる方法ですね。
周りもきっちり帰らせてあげる
効果:★★★★★(ただし時間はかかる)
取り組みやすさ:★★
低コスト:★★★★★
定時が近づいてきたら、「今日の進捗状況はどうですか?」と周りに声をかけてみましょう。
定時の1時間前であれば、手伝えば定時には終わるかもしれません。
なにより、定時を意識して仕事をしていることを周りに示せますし、長く続けて周りも同じ気持ちになれば、それが職場風土となります。
時間はかかりますが、これが一番大事かもしれませんね。
ただし、声をかけて他人の仕事を手伝ってしまうことで、自分の仕事の範囲が広がって守備範囲があいまいになり、③の「自分の仕事が終わったのか終わってないのかよくわからない」という状態を生み出す可能性があります。ご注意を。
③自分の仕事が終わったのか終わってないのかよくわからない
自分の役割・守備範囲を周りに示し続ける
効果:★★★★★(ただし時間はかかる)
取り組みやすさ:★
低コスト:★(極端な自己研磨が必要)
自分の仕事の守備範囲を自分的にも周りにもはっきりさせましょう。
あいまいなままだと、いつまでも残業し続けることになります。
個人の力で自分の仕事をはっきりさせるためには、以下の3つが必要です。
・まず自分の守備範囲を自分で勝手に決める
・それ以外の仕事は引き受けない
・ただし守備範囲内と決めた仕事は、責任を持って遂行し、クオリティも高水準を保ち続ける
時間はかかりますが、これを継続し続けることで周りに自分の守備範囲を浸透させることが出来ます。
クオリティの高さは保ち続けないと、周りがあなたをその仕事の責任者と認めてくれません。
そしてその分野に関してはあなたは誰にも負けない知識と技術を身に着ける必要があります。
なぜなら、形式的な役割分担を無視し、実効的な役割分担を手に入れるわけですから、その分野に関しては周りも認めざるを得ない圧倒的な実力が必要となるからです。
また、自分が責任を持たなければならない仕事もはっきりしますので、その仕事に関しては失敗しても言い逃れができなくなります。
この状態にまでなればひとまず成功と言えるでしょう。
まとめ
個人の力で時間外を無くす。
一見大変なようですが、コントロールが困難な会社の方針や国の施策に頼るよりはよほど現実的です。
なにより自分の行動一つですから、余計なストレスもないでしょう。
ただし、それに伴う責任の発生も受け入れる必要があります。
「責任は取りたくないしリスクも負いたくないけど、時間外もしたくない」
という方法は、少なくとも現在の日本で実行することは難しいでしょう。
まずはやれそうなところから取り組んでみてはいかがでしょうか。