アナと雪の女王の世界を推察する
3歳の娘に付き合い、1日に何度も録画したアナと雪の女王を見させられています。
(C)Disney
以前の記事にも書きましたが、我が家の主人公は娘であり、脇役の私にチャンネル権はありません。
しかも悪いことに、1歳になった次女もアナと雪の女王が大好きで、あまりに喜ぶのでついつい見せてしまいます。
そんなアナと雪の女王ですが、何度も見ているうちにいろいろな疑問が沸いたので、また私なりに推察してみました。
アナと雪の女王とは
いまさら知らない人はいないとは思いますが。
アナと雪の女王は、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ製作による2013年公開の3Dコンピュータアニメーション映画です。
主人公の一人「エルサ」の歌う「レット・イット・ゴー」が大変流行り、観客動員数は2003万人。日本歴代2位となりました(1位は「千と千尋の神隠し」)
興行収入は254億円で、こちらも日本歴代興行収入ランキング3位にランクイン。
なんでも無意識に凍らせてしまう引きこもりの姉と、ノースリーブで雪山に出掛けてしまう無鉄砲な妹が、国を乗っ取ろうとするけど致命的に詰めが甘すぎる他国の王子を退けて、職業選択を誤っている氷職人と幸せになる話です。
あと雪だるまも出るよ。
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しっかりしろ王
物語の冒頭、エルサは妹のアナにその氷の能力でケガをさせてしまいます。
父親である国王は、魔力に精通したトロールに助けを求め、結果、暴走するエルサの能力を隠すため城に閉じ込めるという選択をします。
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王は数年後に事故で王妃とともに帰らぬ人となってしまい、エルサは解決策を見いだせないままその後も城に閉じこもり続けることになります。
さて。
王は最初にトロールに相談をしたその後、定期的に相談・報告をしていたのでしょうか。
映画を見る限り、トロールに相談したのは最初の1回のみです。
王は、「自分たちでエルサの能力をコントロールできるレベルにできる」と過信していたのではないでしょうか。
更に、自分たちが不慮の事故でいなくなる可能性、を想像できていなかったため、何の対策も打たないままエルサを放置してしまいます。
専門家の力を上手に借りる、という能力は非常に大事です。
企業にとってもそうですが、国家もおそらくそうでしょう。
自身が専門職たる知識を身に着けることよりも、他の専門職の知識を上手く引き出す、いわばコミュニケーション能力のほうが大事です。
最初のアナの事故のときにすぐ専門家たるトロールに相談しに行ったことは評価に値しますが、その後のリスク管理は随分おざなりです。
定期的に相談に訪れ、不測の事態に備える手立てを打っていれば、また違った結果だったのかもしれませんね。
貿易の対象となる資源が見当たらない
物語の序盤より、2人のディズニー・ヴィランズ(悪役)のうちの1人として、ウェーゼルトン公爵という人物が登場します。
彼はウェーゼルトン国より戴冠式に招かれたのですが、エルサのアレンデール王国との貿易で富を奪おうと企んでいました。
最初から最後まで貿易重視の行動をとり、物語の途中では密かにエルサを暗殺しようとまでしました。
それほどまでに彼が執着する「貿易」なのですが。
なんど映画を見ても、アレンデールに貿易するに値する資源が見当たりません。
ただたしかに、国は豊かに見えます。
いやむしろかなり裕福です。
そして心穏やかな国民がほとんどのようで、貧しいとか苦しい生活の断片も見受けられません。
映画では語られない特産物のようなものがあるのかもしれませんね。
ウェーゼルトン公爵もそんな様子をみて「貿易の対象国」として期待をしたのかもしれません。
王不在のまま城に引きこもっていたのに民に愛される謎の求心力|エルサ
エルサの戴冠式にあたり、国民はみな祝福モードでいっぱいになります。
口ぐちにエルサの美しさなどをほめたたえ、待ちに待ったお祝いだとばかりに町中に装飾を施します。
愛され方としては最上級の女王です。
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そのエルサは、子供のころから城に引きこもり、人前に出ることはほとんどなかったようです。
王の葬儀も欠席して引きこもっていいるくらいですから、王政などほとんど関わっていないのでしょう。
なのになぜここまで国民に愛されているのか。
全く謎です。
先代の王が相当国民に愛されていたから、とかでしょうか。
実際、戴冠式で現れたエルサを国民や招待客は最大限の祝福の嵐で迎えます。
不安そうな顔のエルサに「エルサ女王、大丈夫ですか?」と優しく身体を気遣ったりする人もいるくらい。
なぜにここまで愛されるのか。
氷の力なんかよりよっぽど不思議です。
どうしてもハンスが悪人に見えない
もう一人のディズニー・ヴィランズ(悪役)、ハンス王子。
この物語で一番悪いやつです。
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終盤まで善人として描かれていますが、実はアナを騙してアレンデールを乗っ取ろうと企んでいました。
本性を現せてからは優しかった表情も悪役らしいものとなり、エルサを殺そうと剣を振り下ろしますが、身を挺して守ろうとしたアナに阻まれてしまいます。
最後は逮捕されて国に強制送還され、王位継承権をはく奪されたうえ馬小屋で強制労働させられるという悲惨な結末を迎えます。
さてこのハンス王子、どうしても悪人に見えないのです。
序盤は凍らされた国を救うため、アナに代わり陣頭指揮をとります。
凍えた国民のために毛布を配り、温かい食べ物を城内に用意させたり、周りの兵士や従者をまとめながら尽力します。
突然やってきた他国の人間が、いきなり周りの兵士や従者を上手くまとめて動かすという、人の上に立つものとして超絶な能力を発揮するのです。
その後行方不明になったアナを探すため協力者を募り、エルサの氷の城に出向きますが、氷の怪物に殺されそうになりながらも城内に入り、エルサを殺そうとするウェーゼルトン公爵の部下からエルサを守りきるという男気溢れる一面を見せつけます。
そしてエルサを城に連れ戻すことに成功。
結果を出す男、ハンス。
アレンデールを乗っ取るためだったとはいえ、ずいぶんアレンデールを救うために貢献したはずです。
周りからも「あなたにもしものことがあればアレンデールはおしまいです」「アレンデールをお救い下さい」と言わしめるほどでした。
その調子でがんばっていれば、アナと結婚していずれアレンデールの国王になれたかもしれないのに。
なのに。
物語終盤、凍死寸前のアナにベラベラと自分の本性を語りはじめ、そのアナにとどめも刺さずに「アナは死んだ」と周りに嘘を伝えます。
アナは簡単な鍵の部屋に閉じ込めただけ。
なぜだハンス。優秀なのになぜこんなに詰めが甘いんだ。
案の定、アナは助け出され、ハンスの策略は周りの知るところとなり、前述のような悲惨な結末を迎えます。
アレンデールへの貢献度、優秀な能力、詰めの甘さ、悲惨な結末。
この4つを考えると、どうしても悪い奴には見えないのです。
その後は自国の馬小屋で強制労働させられているようですが、あれだけ優秀ならきっとまた人生を逆転させるのではないでしょうか。
そのときはぜひ最後まで油断せずがんばってほしいものです。
けっきょく国を守っていたのは誰なのか|本当の主人公
国王が不慮の事故でなくなったアレンデール。
頼みの長女のエルサは城に引きこもり。
では、王が不在でエルサの戴冠式までの数年間、いったいだれが国を守っていたのでしょうか。
議会などがあるようにも見えませんし、大臣的なサブリーダーも見当たりません。
でもあれほど国が豊かで国民が穏やかな状態を作り出せたのは、誰かがきちんと国を運営したからです。
だれだ。
たぶん、この人ではないでしょうか。
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だれ?
そう思われても当仕方がありません。
この方は召使いのカイです。
映画をよく見ると随所に現れます。
そしてセリフなどを聞く限り、エルサやアナの身の回りの世話を取りまとめ、結構重要なことをしています。
おそらく戴冠式は企画、管理、進行まで行っていたのでしょう。
物語冒頭で王がエルサの秘密を隠すため「召使いを減らす」と言っていましたが、彼は残された側の人間だったようです。
つまりは優秀で信頼が厚かったのでしょう。
エンディングでウェーゼルトン公爵にエルサ王女から貿易などの取引を一切しない意志を伝えたのも彼です。
王が不在の間も、閉じこもりのエルサの言葉を国民に伝えたり、国政に反映させたのも彼でしょう。
けっきょくのところ、彼以外に国が守れた人間がいません。
召使いですので権限などないのでしょうが、国のさまざまな執行の調整役となり、エルサの意志を国政に反映させ、閉じこもりのエルサから国民の心が離れないように配慮し、国民に不利益が生じないようにする。
そんなことをしていたのではないでしょうか。
そしてそれらは結果として成功しています。
ハンスが活躍中も、静かにその指示に従いアレンデールを守り続けたのでしょう。
そう。
本当の主人公は召使いのカイだったのです。
ちなみにカイはもう一人の召使「ゲルダ」とともに、映画の原作となった、アンデルセンの「雪の女王」の主人公たちの名前からとられています。
すでにただの召使いではなかったのですね。
まとめ
繰り返し見るたびに新たな発見だったり考えさせられる部分が出てくる映画です。
特に自分の子供が姉と妹だったりすると、感慨深いものがあります。
またひさしぶりに見てみてはいかがでしょうか。