予算書作成のポイント|平成31年度版
決算月が3月の企業担当者は、次年度予算を作成する時期となりましたね。
予算書作成のためのポイントをまとめてみました。
予算書とは
予算書とは、「経営計画を達成した場合の決算書(計算書)」です。
「未来の決算書」とも言えます。
この予算書通りの経営を行うことができれば、予算書通りの決算書となるわけです。
予算書は通常、勘定科目毎に金額を定めますので、支出はこの勘定科目毎の予算額とその残高を確認して行うこととなります。
抑えるべきポイント
予算を承認していただくために、数字に根拠が必要です。
「なんとなくこのくらい」はNG。
予算承認時に根拠を問われたときに困ります。
根拠となる主なものは、
①業者見積
②過去実績
などが考えられます。
また、平成31年度はなんといっても10月からの消費税増税が控えています。
ここを失念すると予算が足りなくなる場合がありますので注意が必要です。
勘定科目別のポイント
勘定科目別に押さえておきたいポイントをご紹介します。
(勘定科目名は準拠する会計ルールによって若干異なります)
給与
まずは現在の職員の給与を調べ、次年度に定期昇給があるのであればそれを加えた資料を作成します。
この総額がリアルな給与の予算です。
このままですと予測がブレたときにすぐ予算超過となりますので、ある程度余裕を持たせます。
このとき、全体に「数パーセントを掛ける」、という方法はおすすめしません。
その「数パーセント」の根拠を作るのが難しいからです。
おすすめは、人数を増やすこと。
こうすると、「余剰人員1名を増やす可能性がある」と簡潔に説明できます。
雇用人数があらかじめ決まっていて余剰人員を増やせない場合は、時間外手当などを増やしましょう。
定期昇給で給与額が増えているのであれば、時間外手当の単価もおのずと上がりますが、できれば時間を増やします。
この場合、36協定(時間外勤務の上限などを定めた協定書)に抵触しないように気を付けましょう。
人事担当者へご確認ください。
法定福利費
細かく計算するのであれば、給与額面に、健康保険料や厚生年金などそれぞれの掛け率を掛け、算出します。
おおまかな計算でよい場合は、給与額面に「法定福利費率」を掛けて算出する方法があります。
健康保険料率や厚生年金料率などを足していくと、おおよそ 給与額面×16%~17% 程度です。
内訳は、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料子ども子育て拠出金・雇用保険料・労災保険料 となります。
都道府県によって少し率が変わりますのでご確認ください。
また介護保険料は40歳以上にのみ発生する法定福利費ですので、職員が40歳未満の場合は法定福利費が減ります。
消耗品費
1つ1つ見積書をとる、というのはほぼ不可能です。
過去実績をもとに算出するのが基本となります。
費用削減をしやすい(努力で減らしやすい)のもこの勘定科目の特徴ですので、上限を低く定め、各部署に割り当てるのもよいでしょう。
賃借料
リース関係がこの勘定科目となりますので、すでに契約している契約書をもとに算出します。
契約に定めた金額を支出するので、予算にブレが出にくいのがこの勘定科目の特徴です。
ただし、リース期間が満了し再リースとなる場合は、大きく額が減る可能性があるので注意しましょう。
再リースを失念してしまうと、余分な予算を計上してしまう可能性があります。
通信運搬費
固定電話代、携帯電話代、郵送料(切手代)などがこの勘定科目に計上されます。
固定電話代を引き落としにしている場合で、引き落とし時に費用として計上している場合は注意が必要です。
引き落とし日は、土日祝日のからみで翌月にずれる場合があり、結果的に1年に13か月分の費用を計上したり、逆に1年に11か月分しか費用を計上しない場合があるからです。
この場合、12か月分を計上した予算と大きく乖離してしまいます。
金額が少額であれば問題ありませんが、多額である場合は、月末に未払い金として費用計上し、年間12か月の費用計上となるよう仕訳を行い、予算と一致するようしましょう。
研修費
可能であれば研修担当者に研修毎の予算を作成してもらいます。
「研修希望一覧」などの題名で表を作成していただくのがベストです。
また、研修にかかわる旅費(旅費交通費などの別勘定科目)は、旅行代理店などに依頼すると見積を出してくれますので、これを利用するのをおすすめします。
繁忙期と閑散期で金額が大きく異なる場合があります。
まとめ
勘定科目別のポイントについてはまだまだ記述すべきものがありますが、今回は主だったものを抜粋してご紹介しました。
予算書作成の一助となれば幸いです。