「親切心でやってあげたばかりに次から自分の業務とされてしまう法則」への最適解について

誰もやりたがらない業務にこそ評価を上げるチャンスがある

皆さんは、職場で「頼まれごと」をされることはありませんか?

困っている同僚を助けたい、という気持ちから、自分の業務ではないことを引き受けてしまう。 しかし、親切心でやってあげたはずなのに、いつの間にかそれが自分の仕事になってしまった、という経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

今回は、この「親切心でやってあげたばかりに次から自分の業務とされてしまう法則」について解説し、その最適解を提案します。
さらに、この法則を逆手に取って、社内評価を上げる方法についてもご紹介します。

「親切心でやってあげたばかりに次から自分の業務とされてしまう法則」とは?

この法則は、以下の流れで発生します。

  1. 親切心で、自分の業務ではない業務をやってあげる
  2. 周りが無意識に、または故意に「次もこの人がしてくれるんだろう」と思い込む
  3. そんなつもりはなかったのに、次から自分がその業務を行うことが「義務」となってしまう

つまり、一度親切で引き受けてしまうと、それが当たり前になり、自分の業務として定着してしまうのです。

この法則の問題点

この法則には、以下のような問題点があります。

  • 自分の業務が増えてしまう 本来の業務に加えて、頼まれごとを引き受けた分の仕事が増えてしまい、負担が増加する。
  • 職場内の雰囲気が悪くなる この法則が蔓延すると、誰も「親切心から1回だけのつもりで他の業務をしてあげる」ことをしなくなります。 その結果、助け合い精神が失われ、ギスギスした雰囲気になる。
  • 業務上の不具合が生じる 「誰にも割り振られていない業務」に誰も手を出さなくなるため、業務が滞り、不具合が生じる。 (本来、業務を適切に割り振るべき管理職側のミス)

「余計な業務に手を出さない」は本当に最適解か

一見、この法則への最適解は「余計な業務に手を出さない」ことのように思えます。
しかし、実は別の、より効果的な最適解が存在します。

別の最適解:面倒な業務を「金の卵」に変える

それは、「将来的に周りが『その業務がしたい』と思わせるような業務に育てられそうな業務」を選定し、戦略的に引き受ける、という方法です。

具体的には、以下の手順を踏みます。

  1. まだ育っていない(成熟していない)が、将来的に魅力的になりそうな業務 を見つける。
  2. その業務を1回引き受ける。法則により、自分の業務になる。
  3. 職場内で重要かつ評価の高い業務に育てる(成熟させる)。
  4. 成果を上げる。
  5. 周りはうらやましがるが、当初は「面倒な業務」として半ば押し付けているので、何も口出しできない。
  6. 上司からは「できるやつ」、同僚からは「頭のいいヤツ」と評価される。
    誰もしたがらなかった業務を引き受けているので、好感度も上がる。

具体例:「時間外の状況を集計する作業」

例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。

毎月、時間外勤務の状態把握のため、各PCの起動時間を専用ソフトで集計する業務が発生したとします。 この業務は、面倒で時間のかかる作業であるため、誰もやりたがりません。

この業務、所属する部署で行うこととなりましたが、「誰がする」ということが具体的に決まっていません。このままでは誰もしないでしょう。そこで、あなたが自発的に集計をしてみます。 「親切心でやってあげたばかりに次から自分の業務とされてしまう法則」により、この業務はあなたの仕事になります。

それでは、この面倒な業務を、社内評価を高めるための「金の卵」に変えていきましょう。

集計方法を工夫し、有益な情報を抽出する

集計したデータを、単に提出するだけでなく、以下のように工夫してみましょう。

  • 職種別、事業部別など、様々な切り口で集計する。
  • 過去数年分のデータと比較し、時間外労働の傾向を分析する。
  • 特定の管理職の異動と時間外労働の増減に相関関係がないか調べる。
  • サービス残業の有無を調べ、法令遵守の観点から問題点を指摘する。

このように、集計データを分析し、有益な情報を抽出することで、この業務の重要性を高めることができます。

労務状況に関する専門家として認められる

時間外労働に関するデータを分析し、問題点を指摘することは、企業にとって非常に重要なことです。 特に、サービス残業などの法令違反は、企業の存続を揺るがす大きなリスクとなります。

経営層は、法令違反を未然に防ぎ、コンプライアンスを重視する社員を高く評価する傾向があります。 時間外労働の状況を正確に把握し、問題点を指摘することで、あなたは労務管理の専門家として認められ、社内での発言力を高めることができるでしょう。

周囲の評価を高め、出世のチャンスを掴む

最初は誰もやりたがらなかった業務を、自ら引き受け、重要な業務に育て上げたあなたの行動は、周囲の社員から高く評価されるでしょう。 「頭のいいヤツ」という評判が広まり、出世のチャンスも大きく広がる可能性があります。合わせて、「誰もしたがらなかった業務を自発的に引き受けたいいヤツ」という好印象もセットで付いてきます。

まとめ

「親切心でやってあげたばかりに次から自分の業務とされてしまう法則」は、一見すると厄介なものです。 しかし、視点を変えれば、これは社内評価を高めるための絶好のチャンスと言えるでしょう。

面倒な業務を「金の卵」に変え、自身の成長とキャリアアップに繋げていきましょう。