【上司必見】職場の軋轢、原因は「ゴミ捨て」かも。業務外の雑務が引き起こす不満の盲点

労働環境




あなたの職場、なんとなく雰囲気がギスギスしていませんか?

仕事の進め方で意見がぶつかるならまだしも、特に大きなトラブルもないのになぜか空気が悪い…。その原因、もしかしたら「今日のゴミ、誰が捨てるの?」といった、業務“外”の小さな問題にあるかもしれません。

デスクワーク中心の職場では、本来の業務については「業務分掌」や「役割分担」がある程度しっかり決まっています。誰が責任者で、誰が何をすべきか、その権限はどこまでか。これらが明確だからこそ、仕事は回っていきます。

しかし、その一方で「業務外の雑務」についてはどうでしょうか。

今回は、多くの職場が見落としがちな「業務外の業務」が引き起こす軋轢と、それを解決する最もコストパフォーマンスの高い方法について解説します。

盲点1:「気づいた人がやる」ルールは機能しない

先日、ある企業で各支店の事務員だけを集めた「アンガーマネジメント研修」が実施されました。そのグループワークで「何に怒りを感じるか」を話し合ったところ、こんな切実な声が上がったそうです。

「私以外、誰もごみを集めないんです」

いつのまにか自分が職場内のゴミ捨て担当と認識され、毎日ゴミを集めて回っている。他の人は、ゴミがいくら溜まっていても捨てず、自分が集めるのを待っている。それどころか、少し対応が遅れると「ゴミが溜まっているよ」と指摘までされる…。

これ、たまったものではありませんよね。

この意見には、グループワーク参加者から「すごくわかる!」という声が多数上がったといいます。

どうやら多くの職場で、「誰が事業所のゴミを捨てるのか」「誰が給湯室(休憩室)の掃除をするのか」といった問題が、深刻な軋轢の原因になっているようです。

こうした「ゴミ捨て」や「掃除」といった業務(?)は、多くの職場で「手の空いた人が、気づいたときにやる」という暗黙のルールが採用されがちです。

一見、協調性のある素晴らしいルールに思えますが、現実はどうでしょう。

通常、デスクワークをしている誰もが「自分が一番忙しい」「自分の仕事が一番大変だ」と思っています。そのため、「気づいてはいるけれど、自分より暇そうな人がやればいい」と考え、誰も手を付けない時間が続きます。

結果として、見かねた特定の人(多くは真面目で気が利く人)が、いつもゴミ捨てや掃除をやることに。その人の心の中では「なんで私ばっかり…」という不満が静かに蓄積していきます。これが、職場のギスギスした雰囲気の第一歩です。

さらに悪いことに、一度でも「やってしまう」と、次からその人の「暗黙の担当」として周囲から認識されがちです。まさに悪循環ですね。

盲点2:怒りの原因「~べき」という謎の決めつけ

さらに問題をこじらせるのが、「ゴミ捨ては〇〇さんがやるべき」という謎の固定観念です。

  • 「そういう雑務は、事務員がやるべきだ」
  • 「一番キャリアの浅い若手がやるべきだ」
  • 「女性が気づいてやるべきだ」 (※論外ですが、未だに存在するケースもあります)

こうした職種や立場、性別による決めつけは、何の合理的根拠もありません。

アンガーマネジメントの世界では、怒りの感情は「~べき」という自分の理想・期待と、「現実」とのギャップによって生まれるとされています。

「事務員がやるべき」と思っている人が、ゴミが放置されている現実を見るとイライラします。

逆に、「これは事務員の仕事ではない」と思っている事務員が雑務を押し付けられると、同じく強い怒りを感じます。

お互いにとって、この「べき」の押し付け合いこそが、職場の人間関係を悪化させる火種そのものなのです。

解決策の難しさ:ルール化が逆に軋轢を生む

「それなら、当番制など明確にルール化すればいいじゃないか」

そう考える人もいるでしょう。しかし、これも一筋縄ではいきません。

考えてみてください。そのルールを作ろうと提案するのは、十中八九「現在困っている人=いつもゴミを捨てている人」です。

その人が「公平に当番制にしましょう」と提案したとき、今まで何もやってこなかった人たちはどう感じるでしょうか。

「あの人は細かいことにうるさい」

「サボっていたのがバレて気まずい」

「面倒なことを押し付けられた」

このように、ルール化そのものが新たな火種となり、提案した人が不満の的になってしまう危険性すらあるのです。

結論:最も効果的な解決策は「部署の長の鶴の一声」

職場の雑務問題を上司の鶴の一声で解決する様子を示したインフォグラフィック
職場の雑務問題を上司の鶴の一声で解決する様子を示したインフォグラフィック

では、どうすればいいのでしょうか。

結論から言えば、最もスムーズかつ公平に解決する方法は、その部署の長(上司・リーダー)が発信してルールを決めることです。

当事者同士で決めようとすると必ず「誰が得をして、誰が損をするか」という視点が入り、不満が出ます。

しかし、部署の責任者という公平な立場から、「職場の環境維持も仕事の一環である」と定義し、「全員で公平に分担する」というルール(例えば、週替わりの当番制など)を決定し、通達する。

最初は抵抗が生じ、一時的に職場内の雰囲気が更に悪化する可能性がありますが、これが、軋轢を最小限にする最善手です。

部下は「上司が決めたルールだから」と(しぶしぶとはいえ)納得しやすく、特定の誰かが不満を抱えることもありません。

なぜ上司は気づかない(or 放置する)のか

とはいえ、多くの上司はこうした問題に気づかないか、気づいていても放置しがちです。

なぜなら、彼らにとって「ゴミ捨て」や「掃除」は「業務ではない=重要ではない」ことだからです。売上や成果に直結しないため、優先順位が限りなく低くなってしまうのです。

しかし、それは大きな間違いです。

部下たちが「誰がやるか」で毎日小さなストレスを感じ、お互いに不満を抱えている状態が、チームのパフォーマンスに良い影響を与えるはずがありません。

実は「業務外の業務」の解決はコスパ最強

上司の皆さんにお伝えしたいのは、この「業務外の業務」の分掌ルールを決めることは、実は非常にコストパフォーマンスが高いということです。

理由

  1. 職場の無駄なストレスが一掃される「なんであの人はやらないんだ」という日々の小さなイライラがなくなり、部下は本来の業務に集中できます。職場の雰囲気は確実によくなります。
  2. 失敗してもリスクが低いもし当番制がうまく機能しなかったとしても、その影響は部署内にとどまります。売上に響くような大きな失敗にはなりません。すぐに改善案を試すことができます。

たった数分、上司が「うちの部署のゴミ捨てルールを決めよう」と発信するだけで、業務内のしょーもない軋轢が解決するのです。こんなに「お得」なマネジメントはありません。

まとめ

職場の人間関係を良好に保つことは、高い成果を出すための土台です。

もしあなたの職場がなんとなくギスギスしているなら、それは「業務外の雑務」が放置されているサインかもしれません。

特に部署の責任者の立場にある方は、ぜひ積極的に「業務外の業務」の分掌ルール作りに取り組んでみてください。小さな一歩が、チームの雰囲気を大きく改善するはずです。

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