総務事務の仕事は、洗濯物をたたむように。
どんな会社にも「総務・事務」、いわゆる「バックオフィス」と呼ばれる分野があります。
みなさんどんな風に仕事に取り組んでいますか。
個人の能力や資質が比較的出やすい「フロントオフィス(直接顧客と接続するなど会社の主戦力)」に対し、あまり活躍が目立たない「バックオフィス」。
そんな不憫さからか、バックオフィスの重要性を極端に大きく唱える方もいるわけですが、それには少し違和感を感じます。
そこで、実際にバックオフィスをしている私なりの「バックオフィスの考え方」を、洗濯物のたたみかたに例えてみます。
バックオフィスの仕事は、洗濯物をたたむのに似ています。
あわてず騒がず、楚々とたたむ
洗濯物をたたむのに、過剰な気合は必要ありません。
慌てず騒がず、淡々と、そして楚々(そそ)とたたみましょう。
だって、洗濯物をたたんでいるんですから。
まず、数枚たたんでみる
膨大な洗濯物をたたもうとすると、ゴールまでの距離の遠さになかなか手がつけられないことがあります。
そういうときは、まず目についた洗濯物数枚をたたんでしまいましょう。
千里の道も一歩から。
数枚たたんでしまうと、そのまますーっとたたみ続けることができるものです。
きれいにたたみ過ぎない
きれいにたたみすぎるするのは止めましょう。
満足はするかもしれませんが、それは求められているクオリティでしょうか。
家庭内には他にもしなければならないことがたくさんあります。きれいにたたもうとし過ぎて時間がかかってしまうのは得策ではありません。
ある程度のクオリティでさっさと済ませてしまうことも大事です。
「不変の効率のよい方法」を探そうとしない
毎日洗濯物をたたんでいると、絶対唯一の最も効率の良い方法を探したくなることがあります。
たしかに効率化を図ることは大切ですし有意義です。
ですが、「ずっと使える方法」を見つけ出し、それに固執することはお勧めしません。
なぜなら飽きるからです。
どんなに効率のよい方法でも、使う側が飽きてしまっては思うように作業は進まなくなります。
むしろ、定期的にやり方を変えたほうがいつも新鮮な気持ちになり、たたむスピードが上がります。
1枚たたむたびに種類ごとに分類して置いていく方法。
とりあえずすべての洗濯物をとりこんでしまってから1枚ずつたたむ方法。
そもそも干す段階でグルーピングしておく方法。
などなど。
また、時間が経つにつれて、世の中の「洗濯物のたたみ方」のスタンダードも刻々と変わるもので、むしろその変化に対応できないほうが問題です。
飽きたら適度にやり方を変えてみましょう。
グッズに走ってみる
世の中には思いもよらない便利グッズが出回っています。
そしてそれはネットで簡単に購入できます。
しかも洗濯物をたたむのに使用する便利グッズの値段は、そうそう高いものではありません。
お試し気分で便利そうなものを購入し、使用してみましょう。
そして「これは便利だ」と思ったら、周りにも勧めしてみましょう。
真剣な話でとるコミュニケーションより、お手軽グッズなどを使用した気軽なコミュニケーションのほうがストレスなく行えるものです。
楽しそうにたたむ
洗濯物は楽しそうにたたみましょう。
自分の仕事の価値を上げるのは、意外とそういうところです。
たたみ方を変えるときは周りに影響がないように
例えば二人で流れ作業で洗濯物をたたんでいるときなどは要注意です。
自分がやり方を変えることで、相手は今までの慣れているやり方を変えざるを得なくなるでしょう。
やり方をかえるときは、自分にのみ影響がある範囲で行うよう心がけましょう。
逆説的に言えば、普段から流れ作業のように密接な連携を伴うやり方ではなく、お互いある程度独立したやり方や仕組みを確立するのも。良作です。
真摯にたたむ
たがが洗濯物、かもしれません。
ですが、常に真摯にたたみ続けましょう。
他の仕事もしてみたいのならなおさら。
それはなぜか。
あなたは仕事を自分以外の家族に依頼するとき、どんな人に頼みますか。
頭が回る人?
知識がある人?
ノウハウがある人?
違いますよね。
仕事は、「真摯に仕事ができる人」に頼むはずです。
なぜなら、仕事を行う上で最も大事なことは、「完遂すること」だからです。
いかに秀でた人でも、真摯さに欠ければ途中で仕事を投げ出してしまいます。
または適当なゴールを作り、あたかも仕事が終わったかのように見せかけるかもしれません。
もし自分が「洗濯物をたたむということ以外の仕事がしたい」と思ったら、まずは目の前の洗濯物を真摯にたたみ続けましょう。
そんな人にしか、やりたい仕事は回ってきません。
他人の洗濯物も積極的にたたむ
これは「親切にしよう」と言っているわけではありません。
そのほうが全体的に効率がよい、というだけの話です。
そもそも個人で生活せずに家庭を持ったり、個人事業をせずに会社組織を作って仕事をする、その理由は何でしょう。
それは、集合して分担したほうが効率がよいからです。
1人で料理から掃除・洗濯・仕事・育児をするよりも、複数人集まってそれぞれ役割分担をしたほうが、格段に効率が上がります。
家庭内で洗濯物をたたんでいる人が同じ瞬間に何人も存在しているということは、全体的に業務が最適化されていない証拠です。
いっそ一人で一手に引き受け、家庭の仕事の最適化を図りましょう。
逆に自分の持っている他の仕事で任せられそうなものは他人に任せ、1人の人間が持つ仕事の種類を少なくし、全体の仕事を最適化することが大事です。
他人の守備範囲を侵さない
前項の「洗濯物をたたむのを引き受ける」うえで最も注意しなければならないのは、相手に黙ってそれを行わないことです。
自分の仕事の守備範囲を無断で侵されたとき、人は怒りを覚えます。
それもかなり。
自分がしている仕事にはそれなりのプライドを持っているものです。
この仕事は自分しかできない、または自分が最も得意だ、と。
そんな仕事を無断で持っていかれたとき、人は「自分がしている仕事が、誰にでもできる簡単な仕事だと思われた」と解釈し、怒ります。
たかが洗濯物をたたむという仕事なのかもしれませんが、仕事に対する価値観は多種多様で想像を超えてきます。
くれぐれもご注意を。
まとめ
私も総務事務にプライドを持っている人間です。
悩み多き仕事ですが、同士の今後の仕事への取り組み方の一助になれば幸いです。