デスクワーク中に実践できる「科学的根拠に基づく健康維持の習慣7選」

健康管理




リモートワークの普及により、私たちの働き方は大きく変化しました。

多くの人が場所を選ばずに仕事ができるようになった一方で、一日中座りっぱなしという方も増えたのではないでしょうか。

「座りすぎは体に悪い」と、多くの人が感覚的に理解しているかもしれません。しかし、その実態は私たちの想像をはるかに超える深刻なものであることが、数多くの研究で明らかになっています。

デスクワークがもたらす健康リスク

「座っている時間が長いほど、総死亡リスクが高まる」——。

これは、2009年に発表された研究(※1)が示した衝撃的な結論です。この研究では、1日に座っている時間が4時間未満の人に比べ、11時間以上の人は死亡リスクが約40%も高まることが報告されています。

デスクワークそのものが悪いわけではありません。しかし、長時間同じ姿勢でいることが、血流の悪化、代謝の低下、さらには心血管疾患や特定のがんのリスクを高める可能性があるのです。

だからこそ、私たちは日々の働き方の中に、意識的に「健康を維持するための習慣」を取り入れる必要があります。

この記事では、科学的な根拠に基づき、私自身も日々実践している7つの簡単なコツをご紹介します。

「なんか身体の調子が悪いなー」と感じたら、ぜひ気軽に試してください。

1. 30分に1回「立ち上がる」

30分に1回「立ち上がる」
30分に1回「立ち上がる」

最も簡単で、そして最も効果的な習慣の一つが、定期的に立ち上がることです。

なぜ効果があるのか?

長時間の座位行動を頻繁に中断することで、食後の血糖値やインスリンの上昇を抑え、中性脂肪の改善にも繋がることが研究で示されています(※2)。また、凝り固まった筋肉をリセットし、疲労感を軽減する効果も期待できます。

具体的な方法

  • スマートフォンやPCのタイマーを30分ごとにセットする。
  • その場で軽く伸びをしたり、肩を回したりする。
  • 飲み物を取りに行く、少し歩くなど、席を立つ口実をつくる。

2. 1日合計11分以上「歩く」

1日合計11分以上「歩く」
1日合計11分以上「歩く」

忙しい毎日の中で運動時間を確保するのは難しいと感じるかもしれません。しかし、1日にわずか10〜11分でもリスク低減効果があると報告されています。

なぜ効果があるのか?

ある研究では、1日に11分の中強度の運動を行うことで、長時間の座位行動による死亡リスクの上昇を相殺できる可能性が示唆されています(※3)。座りすぎによる悪影響を打ち消すには、少し息が上がる程度の運動が効果的です。

具体的な方法

  • 通勤時に一駅手前で降りて歩く。
  • 昼休みに5〜10分、オフィスの周りを散歩する。
  • エレベーターやエスカレーターの代わりに階段を使う。

3. 喉が渇く前に「水を飲む」

喉が渇く前に「水を飲む」
喉が渇く前に「水を飲む」

集中して仕事をしていると、つい水分補給を忘れがちです。しかし、「喉が渇いた」と感じた時には、すでに軽い脱水状態が始まっています。

なぜ効果があるのか?

体内の水分が体重の1〜2%失われるだけでも、注意力や集中力、記憶力といった認知機能が低下することが、多くの研究で報告されています(※4)。パフォーマンスを維持するためには、こまめな水分補給が不可欠です。

具体的な方法

  • デスクの上に常に水を入れたボトルやタンブラーを置く。
  • 「会議が終わったら飲む」「1時間に1回飲む」など、自分なりのルールを決める。
  • コーヒーやお茶だけでなく、「水」を飲む習慣をつける。

4. 20分ごとに「遠くを見る」

20分ごとに「遠くを見る」
20分ごとに「遠くを見る」

PCモニターを長時間見続けることは、目のピントを調節する筋肉(毛様体筋)を緊張させ、眼精疲労やドライアイの原因となります。

なぜ効果があるのか?

米国眼科学会などが推奨する「20-20-20ルール」は、眼精疲労を軽減するシンプルな方法です。これは「20分ごとに、20フィート(約6m)以上離れたものを、20秒間眺める」というもの。遠くを見ることで毛様体筋の緊張がほぐれ、目の疲れを和らげることができます。

具体的な方法

  • 20分ごとにアラームを鳴らし、窓の外の景色や遠くの壁に貼ったポスターなどを眺める。
  • 意識的にまばたきの回数を増やし、目の乾燥を防ぐ。

5. 「肘90度以上」でキーボードを打つ

「肘90度以上」でキーボードを打つ
「肘90度以上」でキーボードを打つ

不適切な姿勢でのPC作業は、肩こりや首の痛み、さらには手首の腱鞘炎につながる可能性があります。正しい姿勢を保つことは、長期的な健康維持のために非常に重要です。

なぜ効果があるのか?

人間工学(エルゴノミクス)に基づいた正しい姿勢は、特定の筋肉や関節への負担を最小限に抑えます。厚生労働省のガイドラインでも、肘の角度を90度以上に保ち、手首が自然な位置になるよう推奨されています。これにより、肩や腕、手首への負担が軽減されます。

具体的な方法

  • 椅子に深く腰掛け、足裏全体が床につくように高さを調整する。
  • キーボードを打つ際に、肘の角度が90度以上になるように椅子の高さを調整する。
  • 手首が反ったり曲がったりしないように、リストレスト(アームレスト)を活用する。

6. 深呼吸 4秒吸い、8秒吐く

深呼吸 4秒吸い、8秒吐く
深呼吸 4秒吸い、8秒吐く

ストレスや緊張を感じた時、私たちの呼吸は浅く速くなりがちです。意識的な深い呼吸は、心身をリラックスさせる最も手軽な方法です。

なぜ効果があるのか?

ゆっくりと息を吐く腹式呼吸は、体をリラックスさせる働きを持つ「副交- 神経」を優位にします。これにより心拍数が落ち着き、血圧が下がるなど、心身が休息状態へと導かれることが科学的に示されています(※5)。

具体的な方法

  • 仕事の合間やストレスを感じた時に、椅子に座ったまま行う。
  • 鼻からゆっくり息を吸い込み(3〜4秒)、お腹を膨らませる。
  • 口からゆっくり、吸う時よりも長く息を吐き切る(6〜8秒)。これを数回繰り返す。

7. 座りながら「足を動かす」

座りながら「足を動かす」
座りながら「足を動かす」

長時間座ったままでいると、重力によって足に血液や水分が溜まり、むくみやだるさの原因になります。

なぜ効果があるのか?

「第二の心臓」とも呼ばれるふくらはぎの筋肉を動かすと、ポンプのように働き、下半身に滞った血液を心臓へと送り返すのを助けます。これにより血行が促進され、むくみの改善や、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)の予防にも繋がります。

具体的な方法

  • 座ったまま、かかとの上げ下げを繰り返す。
  • つま先を床につけたまま、かかとで円を描くように足首を回す。
  • 机の下で、つま先を伸ばしたり曲げたりする。

まとめ:小さな習慣が、未来の健康をつくる

今回ご紹介した7つのコツは、どれも特別な道具や時間を必要としない、誰でも今日から始められるものばかりです。

  1. 30分に1回「立ち上がる」
  2. 1日合計11分以上「歩く」
  3. 喉が渇く前に「水を飲む」
  4. 20分ごとに「遠くを見る」
  5. 肘90度以上で「キーボードを打つ」
  6. 深呼吸 4秒吸い、8秒吐く
  7. 座りながら「足を動かす」

一つでも二つでも構いません。まずは、できそうなことから毎日のデスクワークに取り入れてみてください。その小さな習慣の積み重ねが、あなたの未来の健康を守り、仕事のパフォーマンスをさらに高めてくれるはずです。

参考文献

※1: Katzmarzyk, P. T., Church, T. S., Craig, C. L., & Bouchard, C. (2009). Sitting time and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer. Medicine & Science in Sports & Exercise, 41(5), 998-1005.

※2: Dempsey, P. C., et al. (2016). Interrupting prolonged sitting with brief bouts of light walking or simple resistance activities reduces inspiring postprandial insulinemia in adults with overweight or obesity. Journal of Applied Physiology, 120(7), 729-737.

※3: Ekelund, U., et al. (2020). Joint associations of accelerometer measured physical activity and sedentary time with all-cause mortality: a harmonised meta-analysis in more than 44 000 middle-aged and older individuals. British Journal of Sports Medicine, 54(24), 1499-1506. (※本文中の言及は、より新しい研究やメタ分析を反映し、一般的に引用される数値を参考にしています)

※4: Riebl, S. K., & Davy, B. M. (2013). The Hydration Equation: Update on Water Balance and Cognitive Performance. ACSM’s Health & Fitness Journal, 17(6), 21–28.

※5: Russo, M. A., Santarelli, D. M., & O’Rourke, D. (2017). The physiological effects of slow breathing in the healthy human. Breathe, 13(4), 298-309.

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